アルプスを越えて

時は1985年。9月末になるとおかしな噂が耳に入ってきた。「阪神(タイガース)強いんだって」それからはボクは、事あるごとに日本大使館やJALのオフィスなど日本国内の新聞が読める場所に出没していた。海外に長期間旅する野球ファン(特に阪神タイガースのファン)にとっては気になって仕方のない事情であった。そうあのカーネルサンダース事件の発端となった阪神タイガース21年ぶりのセントラルリーグ優勝の事である。※カーネルサンダース事件とは優勝に狂喜したファンがケンタッキー・フライド・チキン道頓堀店(今はない)のカーネルサンダース像を道頓堀に投げ込んだ事件。今のようにインターネットでなんでも出来る時代ではなかったから、ちょっと日本の事情を知ろうとすると、案外あたまを使う必要があり、手間もかかったのである。素晴らしきかなテクノロジー!AIバンザイ

この辺りは当時のボクには、ものすごい物価高。夜行電車で宿代を節約し、昼間はお金のかからない美術館、博物館めぐりをして過ごした。博物館には鎧、甲冑ばかりがあったような気がする。美術館には豪華な食品を描いた静物画(※朝食画、晩餐画と呼ばれる静物画の一ジャンルである)だ。いずれも富と権力の象徴なのだろう何百年たった今も、ものすごい主張をしているのだからすごい!そしてこの辺りの国境越えもドイツ、ベルギー間とはずいぶん違っていた、とても和やかだった。ドイツ国境警備の人はドーベルマンを連れておかしなもの(禁止薬物)を持ち込んでいないかとピリピリと調べていたのだ。

そんな中ハンブルグでは、屋台のうまいニシンの酢漬けに舌鼓を打ち。ザルツブルクではサウンドオブミュージックのビデオを毎晩見て(ユースホステルで毎晩上映されていた、ちょっと違う?)芸術の都ウィーンを経て、今回の目的地の一つスイスを目指した。あの雄大な自然、ハイジが暮らす世界をぜひ見てみたい!

サンモリッツの湖と霧の幻想的な風景を後に、マイエンフェルトへ。駅には日本語の案内もあり、ハイジの村へは簡単にたどり着けた。デルフリ村は実在しませんがアニメに出てくるハイジの家など、そっくりの建物などが沢山、観光用に作られたのでしょうが矢張りその前で写真をパチリと撮ってしまった。

マイエンフェルトの自然は本当にアニメ「ハイジ」の自然そのままで巨大で重なり合う木々、あの遠く遠く望む山々につづく真っ青な空、うそ偽りのないそのままの美しさに言葉も無くただ見つめるだけでした。

 

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